PMX 標準のコマンドだけでは表現できない楽譜でも、MusiXTEX のマクロを直接記述することで実現できるものがあります。
もちろん、pmxab で出力された .tex ファイルを理解して編集すれば、MusiXTEX のすべての機能を使うことができます。
しかし、ここでは .pmx ファイルを編集するだけで実現できる Tips をいくつか紹介していきます。
PMX では、すべてのインストゥルメントの調性を同じにしなければならないので、移調楽器を含むスコアは実現できません。
\\setsign{n}{s}\
で、n番目のインストゥルメントの調性を s(プラスならシャープ、マイナスならフラット)にします。
scor2prt でパート譜を作るなら、
のようにします。
移調楽器を含むスコアで曲の途中の転調をするには、残念ながら現在の PMX では、.tex ファイルを直接編集するしかないようです。
K+0+m
で全体の転調をして、pmxab でコンパイルしてできた .tex ファイルの \generalsignature{m}
の後に、\setsign{n}{s}
を記述します。
何も指定しない場合 この説明図のソース |
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\\nostartrule\ を指定システムの左端の縦線を表示しない この説明図のソース |
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\\sepbarrules\ を指定スタッフ間の小節線を表示しない この説明図のソース |
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\\songbottom{1}\ \\songtop{3}\ で、1番目から 3番目のインストゥルメントにブラケットがつく パート譜を作る場合には、 %% でパートソースへの出力を抑制する\\akkoladen{{1}{3}}\ でも同様にブラケットがつけられるこの説明図のソース |
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\\groupbottom{g}{m}\ と \\grouptop{g}{n}\ で、4つまでのブラケットをつけられるg はグループの ID( 1 〜4 )、m、n は上記と同じ左の図では、 \\groupbottom{1}{1}\ \\grouptop{1}{2}\ \\groupbottom{2}{3}\ \\grouptop{2}{4}\ としている \\akkoladen{{1}{2}{3}{4}}\ でも同様にブラケットがつけられるこの説明図のソース |
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おまけ\\setsize{n}{\smallvalue}\ で、n番目のインストゥルメントの五線のサイズがやや小さくなる 他に、 \tinyvalue 、\largevalue 、\Largevalue が指定可能この説明図のソース |
\lpzst{p}\
、\upzst{p}\
、\flageolett{p}\
、\Mordent{p}\
、\Shake{p}\
、\Shakel{p}\
、\Shakesw{p}\
、\Shakene{p}\
、\Shakenw{p}\
、\turn{p}\
、\backturn{p}\
は、それぞれ音程 p に上記の記号を出力します。
\upbow
、\downbow
は、高さの指定ができないので、\zcharnote
と伴に使います。
\bracket{p}{n}\
は、音程 p から高さ n の鈎括弧を出力します。
\doublethumb{p}\
は音程 p に高さが 2\internote
の鈎括弧を出力します。
\PED\
、\DEP\
はペダル記号を出力します。\sPED\
、\sDEP\
はその短縮形です。
これらの上下位置は、
\\def\raiseped{-5}\
を再定義すれば、楽譜全体を通して変更できます。
部分的に変更したい場合は、高さ指定を含まない \Ped
、\Dep
、\sPed
、\sDep
を \zcharnote
などと伴に使います。
\duevolte\
で前の小節の繰り返し記号を出力しますが、小節の音価を埋めるためと記号を中央に表示するため、見えない休符を左右に置いてやります。
この例では 4/4拍子なので r2b \duevolte\ rb
としています。
\coda p\
で音程 p にコーダマークが出力されます(この場合、p は p
〜r
あたりがいいかもしれません)。
この説明図のソース
でも、これだと、
\coda p\
を記述したパートにしか出力されないといった問題があります。
そこで、h
コマンドを使ってみました。
\coda d
の d
でテキストとの高さ合わせをして、\bf
でボールドフェイスにして、\kern
で左右の位置合わせをして、h-3
の -3
で全体の高さ合わせをしています。
\octfinup{p}{n}\
で、音程 p に n\noteskip
の長さの ottava を出力します。
\octfindown{p}{n}\
なら下向きです。
\octnumber
を再定義すると、最初の文字列を変更できます。
\def\octnumber{\ppffsixteen8$^{va}$}
で 8va、
\def\octnumber{\ppffsixteen8$^{va\,bassa}$}
で 8va bassa です。
\def\octnumber{\ppffsixteen15$^{ma}$}
で quindecisma になりました。
行をまたぐ長いオクターブ移動記号は、\Ioctfinup
、\Ioctfindown
、\Toctfin
で記述します。
\Ioctfinup{n}{p}
は、参照番号 n の、音程 p の、上向きの移動記号を開始します。
\Ioctfindown{n}{p}
なら下向きです。
\Toctfin{n}
で、参照番号 n の移動記号を終了します。
\metron{\qu}{60}\
などとすると、メトロノーム記号が出力されます。
MusiXTEX のマニュアルには \Uptext{\metron{\qu}{60}}
とすると良いと書かれていますが、例によって scor2prt でパート譜を作る時のために h
コマンドを使ってみました。
この説明図のソース
音符や文字が大きすぎるので、
\bf\smallnotesize\metron{\qu}{60}
としてみました。
この説明図のソース
音符と = の間がちょっと離れているのが気になりますが、取り敢えずこんなもんでしょうw
因みに、2分音符なら \hu
、8分音符なら \cu
です。
\slide{p}{n}{s}
は、音程 p から長さ n\noteskip
、傾き s×10° のグリッサンドを出力します。
このままだと音符と重なってしまうので、\roffset
で適当に右にずらしてやります。
尚、このマクロを使うには、
\\input musixext\
を宣言してやる必要があります。
Last-modified: 2009/12/28